飲食店移転時にかかる費用項目まとめ

飲食店の移転で発生する費用項目を把握しておきましょう。
 

飲食店の移転とは

店舗移転とは、一般的にいう引っ越しのようなものとは違い、今出店しているお店を一度閉店して、違う場所でお店を開店させるといった手続きが必要となります。

席数を増やして売上を増やしていきたい、今よりも人通りのある場所へ移転して集客状況を改善させたい、など移転に伴う理由はさまざまですが、どのような理由であっても移転に関する手続きは変わりません。移転にはどのような手続きが必要で、移転にかかる費用はどれくらいなのか、それらをしっかり把握しておくと、いざというときに動きやすくなります。
 

飲食店の移転にかかる費用項目

移転といっても、実際に行うことは、現店舗の閉店と新店舗の開店の2つです。したがって、費用も閉店費用と開店費用の両方がかかってくることになります。

必要な手続きも含めてそれぞれをみていきましょう。

現店舗の閉店にかかる費用項目と手続き

閉店では、主に解約予告による物件費用と内装工事費用に多くの費用がかかります。

行政関係

保健所へ廃業届と営業許可証の返還をおこないます。その際、警察署に営業許可書を出していた場合にはそれらも返還しましょう。これらの手続きに関しては費用は発生しません。

店舗物件やその他の契約関係

解約予告をどれくらい前に出さなければならないのか、解約時に物件をどのような状態にするのかをあらかじめ契約書で確認しておきます。

一般的には解約予告期間として、3~6か月間と定められていることが多く、その間に営業を終了した場合でもその期間中は賃料の支払いが発生します。

原状回復などで退去する際に必要な工事がある場合には、退去日までに終了させることが必要となりますが、その工事期間中の賃料も負担することになります。

もちろん水道代、光熱費なども退去日までの負担となります。また、厨房機器がリースで、それらを新店舗で使用しないという場合には契約の残りの期間のリース料や、途中解約違約金を支払うこととなります。他に仕入れていたものがあればそれらも契約の手続きもおこないます。

原状回復工事費

賃貸契約書には原状回復条項が含まれている場合があります。退去時に物件の内装を取り払い必要な修繕を行う工事か、まっさらな状態まで戻すスケルトン工事かどちらかをおこなうことになりますが、工事内容によって費用は大きく変わってきます。

店舗の立地や構造、設備によっては追加費用が発生することもあり、それらは坪単価数万円となります。また閉店に際に出る廃棄物は、内装工事業者に処分を依頼することができますが、自分で処理する場合には、処理費用も用意しておく必要があります。

解雇予告手当

スタッフを雇っていた場合には実際に勤務する期間と同様の平均賃金を支払わなければいけません。従業員への解雇予告は30日以上前に行わなければならないという決まりがあるため、必ず守りましょう。

顧客への案内

移転する日程をどのように顧客に知らせるかも考えておきましょう。これらは、SNSやHP上での告知であれば費用は発生しませんが、チラシを配るなどの方法を選択する場合には印刷費用などが発生します。

移転先の開店にかかる費用項目と手続き

行政関係

開業届と営業許可を保健所で手続きをおこないます。また補助金や助成金、融資を受ける場合にはそれらに必要な書類を揃えておきましょう。

物件取得費

物件契約時の保証金や礼金、仲介手数料、前家賃などの費用がかかってきます。一般的に物件の賃料は物件のエリアや広さ、立地条件によって異なり、駅近や人気のエリアであるほど高額になる傾向があります。敷金、保証金は賃料の数ヶ月程度となっている場合が多くみられます。現店舗の物件を解約する際に保証金が戻ってくるたえ、それらを新規物件の取得費の足しにすることも可能でしょう。ただ賃貸契約書に償却額が設定されている場合には、全額の返金はされないので気をつける点となります。

内装工事費用

物件を契約後は、設備や内装を整えるために内装の工事が必要となります。テナント内装工事には、ドアや床、壁、天井、照明、配管などに加え、厨房機器の設置も含まれます。そして工事する場所や工事内容、店舗の広さなどによって工事費用は変わってきます。新店舗のコンセプトに合った内装にするためにもトラブルなどが起きないよう、細心の注意が必要となります。

人件費

スタッフを雇う場合には、教育費などが必要となる場合があります。

顧客への案内

新店舗での集客のための広告宣伝費が必要な場合には準備しましょう。HPやSNSを利用すると費用を抑えることが可能となります。広告媒体や宣伝方法によって数万円~数十万円かかることもあります。

上記のように、飲食店の移転では閉店にかかる費用と新たに開店する店舗のための費用がかかることになります。それらを同時におこなうということは、物件の費用だけでも二重に支払いをしなければならない時期があるということになります。

費用自体は実際は移転のプロセスや条件によって大きく変わるため、移転を考える際には、十分な余裕をもったスケジュールを組み、飲食店の店舗に詳しい内装業者や不動産業者などからのアドバイスを受けるといいかもしれません。
 

移転する際のリスク

飲食店を移転する際には物件探しや解約予告が重要となります。それらで起こり得るリスクを理解しておきましょう。

移転先が見つからない

物件の解約には、事前に解約することをオーナーへ伝えておく必要があり、これを解約予告といいます。オーナーはこの解約予告をもとに次の借主を探します。

つまり物件の解約期日が迫ってきているにもかかわらず、移転先が見つからない、となってしまっても引き渡し日の変更はできないことになります。

ただ閉店をするだけとなってしまい、売り上げがなくなってしまい、収入が途絶えてしまいます。移転先の物件は、できるだけ早くみつけておくことが望ましいといえます。

現店舗からすぐに撤退できない

これは前述とは逆で、移転先が見つかったとしてもいまの店舗物件からすぐに撤退することはできないというリスクです。賃貸契約の内容にもよりますが、解約予告から解約まで3~6ヶ月といったところが一般的です。

移転先が見つかったとしても、すぐに解約することはできないのです。新店舗のための物件は、早く探し始めることが理想ですが、解約予告とのバランスも重要なポイントとなってきます。
 

まとめ

飲食店移転時にかかる費用項目をまとめました。移転にかかる費用は物件や内装工事の内容によって大きく変化するため、算出することは難しいといえます。

移転に伴うさまざまな手続きや、行うべきことが多く、大変な作業となりますが、移転することのメリットも多くあります。計画的に早めのスケージュールで行動をすることで余裕をもった移転作業ができ、大きなトラブルを避けることもできるでしょう。

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